『建設業許可はどんな場合に必要なの?』
『建設業許可のメリット・デメリットを知りたい!』
このように悩まれている方は多いのではないでしょうか?
建設業を営んでいて事業を安定させたい、事業を大きくしたいなら建設業許可の取得はさけてはとおれません。取得すべきか悩まれている方はメリットとデメリットを比較してみるとよいでしょう。
そこで建設業許可を専門におこなっている大阪の行政書士が、建設業許可取得のメリット・デメリットを基礎知識(必要ない工事)を含めて解説します。
これらのメリットとデメリットを把握して、事業運営の参考にしていただければ幸いです。
1.建設業許可が必要ない工事
建設業許可がなくても請け負うことができる工事は、次のようになります。
●建設業許可が必要ない工事
建設工事の区分 | 建設工事の内容 |
---|---|
建築一式工事 | 1,500万円未満の工事 |
建築一式工事以外の工事 | 500万円未満の工事 |
※請負額には消費税額を含みます。
このように基本的に500万円未満の工事は、建設業許可なしで請け負うことができます。したがって500万円未満の工事しかおこなわない場合は、ルール上は建設業許可を取得する必要はありません。
この基礎知識を念頭に、建設業許可取得のメリット・デメリットを解説していきます。
2.建設業許可取得のメリット
建設業許可取得のメリットは大きくわけて次の5つになります。
- 500万円以上の工事ができる
- 公共工事の入札に参加できる
- 仕事を受注できる幅がひろがる
- 社会的信用力があがる
- 金融機関から融資をうけやすくなる
それでは、くわしく解説していきます。
1)500万円以上の工事ができる
一般建設業許可を取得すると、500万円以上4,000万円未満の工事を請け負えるようになります。(建築一式工事は1,500万円以上6,000万円未満)
取得要件はきびしくなりますが、特定建設業許可を取得すれば4,000万円以上の工事も上限額なしに請け負えるようになります。
このように建設業許可を取得すれば500万円以上の工事依頼がきても受注でき、500万円前後の際どいラインの工事でも気にせずに受注することができます。
2)公共工事の入札に参加できる
建設業許可を取得して所定の手続きをすれば、公共工事の入札に参加できるようになります。
公共工事の入札に参加する流れは、次のようになります。
- 建設業許可を取得
- 経営事項審査を受ける(経営状況分析申請→経営規模など評価申請)
- 競争入札参加資格申請
- 公共工事の入札に参加
公共工事にはさまざまなメリットがあります。
公共工事は景気刺激策としておこなわれることもあるので、不景気で民間工事が少ないときでも、公共工事はおこなわれます。公共工事は国地方公共団体が発注しますので、工事代金回収も容易です。また公共工事の施工実績は信用につながり、その後の営業活動にもプラスになります。
公共工事のメリット |
---|
●仕事量が安定している(景気に左右されにくい) ●工事代金回収が容易 ●施工実績が信用につながる |
このように公共工事の入札参加には、大きなメリットがあります。
3)仕事を受注できる幅がひろがる
近年はコンプライアンス強化の流れが強まり、建設業許可のない下請け業者に500万円以上の工事をさせてしまうと元請け業者も罰則を受けてしまいます。このようなペナルティを警戒して、建設業許可のない業者には工事を発注しないという元請け業者も増えています。
今後もこの傾向は強まっていき、建設業許可を取得していないと業者間では工事受注の機会が大幅に減少すると考えられています。
現状でも500万円を超える工事や、500万円前後の際どいラインの工事は受注の機会を逃していることが多いでしょう。
建設業許可を取得すれば、このような受注の機会ロスがなくなり、受注できる工事の幅がひろがります。
4)社会的信用力があがる
建設業許可を取得すれば、社会的信用力があきらかにあがります。建設業許可を取得するには、都道府県知事や国土交通大臣の審査をクリアする必要があります。
その審査をクリアするためには次のような要件を満たす必要があります。
- 建設業の経営経験があり
- 国家資格や実務経験に裏付けされた技術力があり
- 適切な社会保険などに加入しており
- 財産的基礎や金銭的信用があり
- 犯罪歴などの欠格要件に該当せず
- 建設業の営業をおこなう事務所がある
建設業許可をもっていると、これらの要件を満たしている健全な建設業者とみなされ、社会的な信用につながります。
社会的な信用力があれば、工事も受注しやすくなり、社員の採用などさまざまな場面でメリットを享受することができます。
5)金融機関から融資を受けやすくなる
建設業許可を取得すれば社会的信用力があがり、金融機関からの融資を受けやすくなります。現実的にいえば、建設業許可なしでは金融機関から融資を受けることは難しいでしょう。多くの金融機関で融資の条件に、建設業許可を取得していることをあげています。
組織的に事業を営むうえで、資金繰りは非常に重要です。この資金繰りがおこない易くなることは、大きなメリットです。
3.建設業許可取得のデメリット
建設業許可取得のデメリットは、取得と維持に費用と手間がかかることです。
建設業許可は取得して終わりではありません。毎年決算後に決算変更届、所定事項発生時には変更届、5年ごとに更新申請が必要で、これらにも費用と手間がかかります。
1)建設業許可取得に費用と手間がかかる
①取得にかかる費用
- 許可申請手数料(知事許可90,000円、大臣許可150,000円)
- 申請に必要な納税証明書取得など実費(3,000円から5,000円くらい)
- 行政書士に依頼する場合は申請代行報酬(100,000円から200,000円くらい)
②取得にかかる手間
- 新規申請手続き
2)建設業許可の維持に費用と手間がかかる
①維持にかかる費用
- 更新申請手数料(50,000円)
※決算変更届・変更届は0円 - 申請に必要な納税証明書取得など実費
- 行政書士に依頼する場合は申請代行報酬
②維持にかかる手間
- 決算変更届手続き
- 変更届手続き
- 更新申請手続き
4.建設業許可取得のメリット・デメリットまとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。
建設業許可取得にはさまざまなメリットがありますが、費用と手間がかかるなどのデメリットもあります。これらのメリットとデメリットを把握して、事業運営の参考にしていただければ幸いです。ご不明な点などありましたら、お気軽にお問い合わせください。
それでは、本コラムのまとめです。
●建設業許可が必要ない工事
・建築一式工事は、1,500万円未満の工事
・建築一式工事以外の工事は、500万円未満の工事
※請負額には消費税額を含みます。
●建設業許可取得のメリット
①500万円以上の工事ができる
②公共工事の入札に参加できる
③仕事を受注できる幅がひろがる
④社会的信用力があがる
⑤金融機関から融資をうけやすくなる
●建設業許可取得のデメリット
①建設業許可取得に費用と手間がかかる
②建設業許可の維持に費用と手間がかかる
・毎年決算後に決算変更届
・発生時に変更届
・5年ごとに更新申請
枚方市くずは「行政書士おおむら法務事務所」は、大阪・京都の建設業許可を専門におこなっています。建設業許可申請などでご不明なことなどございましたら、お気軽にお問い合わせください。
あわせて『大阪で建設業許可を新規取得する6つの要件を行政書士が解説』などをご覧いただければ、取得要件について参考になると思います。