建設業許可と経営事項審査の電子申請がスタート!メリット・デメリットを解説

令和5年1月より建設業許可と経営事項審査の電子申請がスタートしました。

まずは1月10月より大臣許可の電子申請がスタートし、知事許可は準備が整い次第順次スタートとなっていました。実際には、ほとんどの地域では1月10日よりスタートしています。

ただし、東京・大阪・京都・兵庫・福岡の5都府県は体制が整い次第のスタートとなっています。

現状は今までの書類申請と電子申請の併用となり、パソコンやオンラインなどが苦手な方にとっても、不利益がないような仕組みになっています。

この記事では、「建設業許可の電子申請とは何か、電子申請の対象手続き、メリット・デメリット」について解説します。今後の建設業許可や経営事項審査の、参考にしていただければ幸いです。

参考:国土交通省「建設業許可・経営事項審査電子申請システムの詳細」


建設業許可の電子申請が5都府県を除きスタート

 まずは建設業許可の電子申請とは何か、対象外の5都府県などについて解説します。

1)建設業許可の電子申請とは?

 建設業許可の電子申請とは、「建設業許可・経営事項電子申請システム」を使用してオンライン上で建設業許可と経営事項審査の手続きをすることになります。

他省庁とのデータ連携により、登記事項証明書や納税証明書などの添付が不要になるなど、手続きの簡略化がはかられています。

2)対象外の5都府県

当面は電子申請対象外の5都府県ですが、東京都は令和5年度中の開始を予定しています。しかし、大阪府・京都府・兵庫県・福岡県は開始時期未定となっているようです。

建設業の知事許可は、運用ルールも都道府県によって異なっている所があるので、無理からぬ理由はあるかと推察されます。

ただし、これを機に都道府県ごとのローカルルールもある程度統一されると、申請者や行政機関にとっても、メリットがあるのではないかと思われます。


電子申請の対象手続き

 建設業許可・経営事項審査の電子申請システムにおいては、次の申請手続きなどについて令和5年1月から運用開始することを予定されています。

1)建設業許可関係

  • 許可申請(新規許可、許可換え、般特許可、業種追加、更新)
  • 変更届(事業者の基本情報、経営業務管理責任者、営業所の専任技術者、営業所の代表者など)
  • 廃業等の届出
  • 決算報告
  • 許可通知書などの電子送付

2)経営事項審査関係

  • 経営事項審査申請(経営規模等評価、総合評定値)
  • 再審査申請(経営規模等評価、総合評定値)
  • 結果通知書などの電子送付


電子申請のメリット

会社・自宅からオンラインで申請できる

会社や自宅のパソコンから、オンラインで届出書類を作成できます。申請や届出もできるので、行政庁窓口に行く&郵送の手間が省けます。従前通り、書類申請も出来ますので、パソコンなどが苦手な方も安心です。

データ連携により書類の取得と添付が不要になります

法務省の登記事項証明書、国税庁の納税情報等とのデータ連携により、当該書類の取得や添付が不要になります。その他にも技術者資格情報等も連携されます。

ただし、デジタル庁が提供する認証サービス「GビズID」の取得が必要となります。また、一部の手続きについてはデータ連携が行えません。

外部データの取込、前回申請データの再利用が可能になります

外部のアプリケーション等で作成したデータの取込や、前回申請したデータを利用した申請書類の作成ができますので、入力の手間が省けます。

④システム上でエラーチェック、自動計算ができます

システムによるエラーチェックや自動計算を行いますので、申請書類の作成に係る手間が省け、作成誤りがなくなります。


電子申請のデメリット

電子申請のデメリットは次のようになります。ただし、現状、書類申請と電子申請を選択して行えますので、実質的にはデメリット無しともいえます。

GビズIDアカウントの取得が必要

建設業許可や経審の電子申請システムの利用には、事前にGビズIDの取得が必要です。

取得には2~3週間くらいかかるので、早めに取得しておきましょう。

申請システムが分かりづらい

現状では電子申請システム自体が非常に分かりづらく、初めて操作する際にはかなりの時間がかかります。この点は、今後の改善に期待されます。

インターネット回線やパソコンなどが必要

電子申請には当然ですがインターネット回線やパソコンなどの機器が必要です。現状では、スマホなどは対応していません。

窓口申請のように確認しながら手続きできない

書類申請を窓口で行うときのように、担当者に不明点などを教えてもらいながら、書類作成をすることができません。

窓口に行く手間はありますが、書類作成が不慣れな方であれば、教えてもらわなければ書類作成できない場合もありますので、今後の課題になるかと思われます。


「建設業許可と経営事項審査の電子申請」まとめ

令和5年1月から建設業許可と経営事項審査の電子申請がスタートしました。まずは大臣許可からはじまり、知事許可は準備が整い次第スタートとなります。

実際には、東京・大阪・京都・兵庫・福岡の5都府県を除いた地域では1月からスタートとなっています。東京は令和5年度中にはスタートする予定ですが、大阪・京都・兵庫・福岡は未定となっています。

当面は、從來の書類申請と電子申請の併用となります。

電子申請は、対象となる手続きが決まっており、メリット・デメリットがありますので、自分にとって便利な方で申請すれば良いでしょう。

ただし、電子申請の運用がはじまれば、徐々に便利さが増し、メリットも増えてくると思われますので、最新情報は入手するようにしておきましょう。

参考:大阪で建設業許可を新規取得する6つの要件を解説【チェックリスト付き】

  • この記事を書いた人

特定行政書士×プロライター

ビジネス・法律系記事の執筆が得意な人。会社経営歴10年。
東証一部不動産・建設会社や中小企業、社労士事務所などで「法律系事務」や「人事総務」などを長年経験。

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