大阪で建設業許可の更新申請をする5つの注意点を行政書士が解説

『建設業許可更新の注意点を知りたい』
『このままだと建設業許可更新ができないと言われた』

このような疑問点やお困りごとを持っておられる方は多いのではないでしょうか?

ご安心ください。建設業許可更新の注意点を事前に知っていれば、直前になって慌てることや更新できずに許可取消という事態も防ぐことができます。

そこで建設業許可申請代行の専門家である行政書士が、建設業許可の更新にむけて気を付けておくべき5つの注意点について解説します。

更新はもちろん建設業許可を運用する全体的な注意点もわかりますので、しっかりと理解して許可運用の心配事を減らしていただければ幸いです。

1.建設業許可の更新申請とは

建設業許可を取得すると、5年ごとに許可の更新申請が必要になります。許可の更新をしないと許可取消となりますので、許可を継続したい場合は必ず更新申請する必要があります。

そして更新申請する際には、次のような5つの注意すべきポイントがあります。

  • 更新期間内に申請をおこなう
  • 毎年の決算変更届を提出している
  • 商業登記簿謄本と現状が一致している
  • 必要な変更届を提出している
  • 建設業法改正などに対応して許可要件を満たしている

これらについて、次章よりくわしく解説します。


2.更新期限内に申請をおこなう

建設業許可更新申請には申請期間があり、大阪府知事許可の場合は許可期間満了3ヶ月前から30日前のあいだに更新手続きをしなければなりません。

30日前までに手続きできなかった場合でも、許可期間満了日までに手続き完了すれば更新できる可能性はありますので、大阪府庁などの更新申請提出先に確認してみましょう。

ただし、許可期間満了日を過ぎてしまった場合は更新できません。1日でも過ぎると更新できず、新規申請しなければなくなります。

更新できずに新規取得になれば、次のような多くのデメリットが生じます。

  • 新規取得するまでの数ヶ月は無許可状態になり500万円以下の工事しか請け負うことができなくなる
  • 許可番号が変わり看板や名刺なども新調する必要がある
  • 新規取得手数料がかかる
  • さまざまな書類や手続きをする必要が生じる

建設業許可の期限 5年間。5年ごとに更新が必要
建設業許可の更新期間 期間満了の3ヶ月前から30日前まで

※大阪府知事許可の場合

更新申請に時間がかかる場合などもありますので、時間的な余裕をもって対応するように心掛けましょう。更新申請が間に合わず、許可取消となっては一大事です。

『忙しくて時間がとれない』『内容がむずかしくてどうしてよいかわからない』などの場合は、専門の事務員の雇用や行政書士への依頼を検討しましょう。


3.毎年の決算変更届を提出している

建設業許可業者は、決算終了後4ヶ月以内に決算変更届を大阪府知事に提出しなければなりません。

5年ごとに許可更新をおこないますが、その5年間毎年決算変更届を提出していないと許可更新申請することはできません。未提出分があるときは、すべて提出してからでないと更新申請は受け付けてもらえません。

かりに5年分すべて未提出の場合は、5年分の決算変更届をまとめて作成しなければなりません。過去の決算書や請負契約書などの書類をすべて出してきて作成しなければならず、とても大変な作業となります。ルールどおり毎年決算変更届を提出していた場合の、何倍何十倍の労力がかかってしまうでしょう。

また決算変更届を提出していないと、経営事項審査も受けられず、懲役や罰金などの罰則が科されることもありますので、必ずルールどおりに提出するようにしましょう。


4.商業登記簿謄本と現状が一致している

また建設業許可の新規申請で、法人の場合には商業登記簿謄本を提出しています。この内容に変更があったときは、当然登記の変更しなければならず、更新申請時にも添付しなければなりません。

よくある事例として下記の場合は、登記の変更が必要です。

  • 営業所(本店・支店)の変更
  • 商号または名称の変更
  • 資本金の変更
  • 法人の役員の変更

変更登記しておらず商業登記簿謄本と現状が一致していない場合は、建設業許可の更新申請は受け付けてもらえません。

登記申請の必要な変更が発生したときは、2週間以内に変更しなければなりません。これを怠った場合は、代表者個人が100万円以下の過料に処されることがありますので、十分に注意しましょう。


5.必要な変更届を提出している

建設業許可の内容に変更があったときは、大阪府知事に変更届を提出しなければなりません。この変更届を提出していない場合も、更新申請はできません。

また決算変更届と同様に提出を怠った場合は、6ヶ月以内の懲役や100万円以下の罰金などの罰則が科されることがありますので注意が必要です。

変更届が必要なケースは次のようになります。

変更内容 提出期限
経営業務管理責任者などに関する変更 14日以内
社会保険加入状況の変更
専任技術者の変更
令3条の使用人に関する変更
欠格要件の発生
営業所(本店・支店)の変更 30日以内
商号または名称の変更
資本金の変更
法人の役員の変更
株主などの変更
支配人・個人事業主の変更
廃業した場合
決算報告 決算終了後4ヶ月以内


6.建設業法改正などに対応して許可要件を満たしている

建設業法など法改正の影響で、建設業許可の要件が新たに追加されたり、申請書類や添付書類が変更されたりすることがあります。

近年のわかりやすい事例でいうと、令和2年から建設業許可要件に社会保険(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)の加入が義務付けられました。

建設業許可の新規取得時はもちろん、更新時に適切に社会保険に加入していない場合は、許可更新が認められないことになりました。

このような法改正などによる許可要件などの変更は、早目に情報を入手して対応しておかなければ更新期間に間に合わず、許可が取り消されることが十分に考えられます。

ぎりぎりのタイミングで更新申請しようとして、補正などを求められても対応が間に合わない可能性は高いと言えるでしょう。


7.建設業許可更新申請の注意点まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。

建設業許可更新申請の注意点をしっかりとおさえて、スムーズに手続きをすすめていただければ幸いです。ご不明点や不安なことなどございましたら、お気軽にお問い合わせください。

それでは、本コラムのまとめです。

●建設業許可業者は、5年ごとに更新申請が必要です。

●建設業許可更新申請の、主な注意点は次の5点です。これらができていないと許可更新ができず、許可取消となりますので十分注意しましょう。
 ①更新期間は期間満了の3ヵ月前から30日前までです(大阪府知事許可の場合)
 ②毎年の決算変更届を提出していること
 ③商業登記簿謄本と現状が一致していること
 ④必要な変更届を提出していること
 ⑤建設業法改正などに対応して許可要件を満たしていること

●変更届や決算変更届を提出していないと、懲役や罰金などの罰則が科せられることがあります。また更新のときに5年分まとめて作成する場合、ルールどおりに作成していた場合の何倍何十倍の労力がかかります。ルールどおり提出するように心掛けましょう。

●また経営事項審査を受ける場合の決算変更届作成は、さらに手間がかかります。専門の事務員がおられない場合などは、安全性や費用対効果を考えて行政書士に依頼することをおすすめします。


枚方市くずは「行政書士おおむら法務事務所」は、大阪・京都の建設業許可を専門におこなっています。建設業許可更新申請などでご不明なことなどございましたら、お気軽にお問い合わせください。


あわせて大阪で建設業許可を新規取得する6つの要件を解説【チェックリスト付き】も、ご覧いただければ、建設業許可要件などについても理解しやすいと思います。


参考資料:大阪府ホームページ『建設業許可の申請・閲覧・証明等』

  • この記事を書いた人

特定行政書士×プロライター

ビジネス・法律系記事の執筆が得意な人。会社経営歴10年。
東証一部不動産・建設会社や中小企業、社労士事務所などで「法律系事務」や「人事総務」などを長年経験。

-コラム一覧, 建設業許可