相続税対策はいつから始める? 早期準備のメリットと具体的な方法について解説

相続税は、人が亡くなった際に残された財産に課せられる税金です。相続が発生してから慌てて対策を講じるのではなく、早いうちから計画的に準備を進めることが重要となります。

なぜなら、相続税には様々な控除や特例があり、それらを最大限に活用することで、納税額を大幅に減らすことが可能だからです。しかし、相続税の制度は複雑で、専門的な知識がないと適切な対策を立てることは難しいのが実状です。

そこで今回は、相続税対策をいつから始めるべきか、早期準備のメリット、そして具体的な対策方法について詳しく解説していきます。

参考:相続税の計算方法をわかりやすく解説!基礎控除・税率・特例を理解しよう

1. 相続税対策はいつから始めるべき?

相続税対策は、「早ければ早いほど良い」と言えます。具体的には、相続が発生する可能性を意識し始めた時点で、対策を検討し始めるとよいでしょう。なぜなら、相続税対策には、時間をかけて準備する必要があるものが多く存在するからです。

例えば、生命保険や不動産の活用などは、数年単位で計画を進める必要があります。また、相続税の計算には、相続開始時の財産の評価額が基準となります。そのため、財産の評価額が低い段階から対策を始めることで、相続税額を効果的に抑えることが可能となるのです。

「まだ若いから」「相続はまだ先のことだから」と考えて対策を先延ばしにしていると、いざ相続が発生した時に、十分な対策を講じることができず、多額の相続税を支払わなければならない可能性も出てきます。相続税対策は、早いうちから専門家に相談し、計画的に進めていくことが大切です。

参考:政府広報オンライン「相続税はいくらから?基礎控除とは?相続税の基本を確認!」



2. 早期準備によるメリット

相続税対策を早期に開始することには、以下のようなメリットがあります。

1)節税効果の最大化

相続税には、基礎控除や配偶者控除など、様々な控除制度があります。また、生前贈与や生命保険の活用など、様々な特例も設けられています。これらの制度や特例を最大限に活用するためには、事前の準備が不可欠です。

例えば、生前贈与を活用する場合、贈与税の年間非課税枠を利用することで、計画的に財産を移転していくことができます。しかし贈与してから相続発生までの期間が短いと、相続財産とみなされてしまう可能性がありますので、早いうちから贈与を始めることで、より効果的に節税対策を行うことができるのです。

2)相続時の負担軽減

相続が発生すると、相続人は、遺産の分割協議、相続税の申告・納税など、様々な手続きを行う必要があります。これらの手続きは、時間的にも精神的にも大きな負担となります。しかし、事前に相続税対策をしておくことで、相続発生時の負担を軽減することが可能です。

例えば、遺言書を作成しておくことで、遺産分割協議をスムーズに進めることができます。また、生前贈与や生命保険の活用によって、相続財産を減らしておくことで、相続税の申告・納税の手間を省くことも可能です。

3)家族間のトラブル防止

相続は、家族間でトラブルが発生しやすいものです。遺産の分割方法や相続税の負担割合などを巡って、相続人同士が対立してしまうケースも少なくありません。しかし、事前に相続税対策をしておくことで、家族間のトラブルを防止できます。

例えば、遺言書を作成しておくことで、遺産分割の方針を明確にしておくことができます。また、生前贈与によって、特定の相続人に財産を集中させないようにすることで、相続人同士の不公平感を解消することも可能です。


3. 相続税対策の具体的な方法

相続税対策には、様々な方法があります。ここでは、代表的な対策方法をいくつかご紹介します。

1)生前贈与の活用

生前贈与とは、生きている間に財産を贈与することをいいます。生前贈与を活用することで、相続財産を減らし、相続税の節税効果が期待できます。なぜなら、1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額が110万円以下なら贈与税がかからないからです。しかも、この場合には申告も不要で、手軽に相続税対策が可能です。これを利用して、毎年計画的に財産を贈与していくことで、将来の相続税負担を軽減できます。

また、住宅取得資金や教育資金などの贈与には、非課税枠が設けられています。これらの制度を活用することで、より効果的に財産を移転することが可能です。

2)生命保険の活用

生命保険の死亡保険金は、一定の条件を満たせば、相続税の課税対象から控除されます。これを利用して、相続税の納税資金を確保できます。

生命保険は、受取人を指定することで、特定の相続人に財産を確実に残すことができるというメリットもあります。また、生命保険には、様々な種類の商品があります。相続税対策に適した商品を選ぶことで、より効果的に節税対策を行うことが可能です。

500万円×法定相続人=生命保険の非課税枠

3)不動産の有効活用

不動産は、相続財産の中でも、特に評価額が高くなりやすいものです。そのため、不動産の評価額を下げるための対策が重要となります。

例えば、賃貸住宅を建築することで、相続税評価額を減額できます。賃貸住宅を借金した場合には、マイナス財産が増え、遺産総額を減らすことができさらに効果的です。

また、配偶者や子供に居住用不動産を贈与する場合には、一定の要件を満たせば、贈与税の特例措置を受けることができます。

4)遺言書の作成

遺言書は、自分の死後、財産をどのように処分するかを記した文書です。遺言書を作成しておくことで、遺産分割協議をスムーズに進めることができます。また、遺言書によって、相続人の指定や遺産分割の方法を明確にしておくことで、家族間のトラブルを防止することも可能です。

遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、自分に合った方法で遺言書を作成しましょう。

5)家族信託の活用

家族信託とは、信頼できる家族に財産の管理・処分を任せる仕組みです。認知症や病気などで、将来、自分の財産を管理することができなくなった場合に備えて、家族信託を利用できます。ただし、家族信託は、制度が複雑で、専門的な知識が必要です。利用を検討する際は、専門家に相談することをおすすめします。


4. 相続税対策の早期準備まとめ

相続税対策は、早いうちから始めることが重要です。早期に準備することで、節税効果を最大化し、相続発生時の負担を軽減できます。また、家族間のトラブル防止にもつながります。

相続税対策には、様々な方法があります。「生前贈与、生命保険、不動産の有効活用、遺言書の作成、家族信託」など状況に応じて適切な方法を検討しましょう。

ただし、相続税対策は、専門的な知識が必要となる場合が少なくありません。税理士などの専門家に相談することで、より効果的な対策を立てることができますので、相談の検討をおすすめします。

参考:相続税の課税割合は9.6%に増加中!必要不要の確認方法や注意点を簡単に解説します


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大阪府枚方市くずは行政書士おおむら法務事務所

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