『建設業許可を実務経験で取得するのは難しい?』
『実務経験の証明方法をしりたい』
このようにお悩みの方は多いのではないでしょうか。
実務経験で建設業の許可を申請するには、10年分の書類や資料が必要です。ましてや以前の勤務先から、それらの書類やハンコをもらうのは非常に大変です。
実際問題10年となると書類を保管していないこともあります。
多くの書類の中から自分が取得したい工事(業種)の書類を探すのも大変です。契約書などには、一式工事などしか書かれていないことも多々あります。
そこでこの記事では「実務経験10年で建設業許可を取得する方法」などについて解説します。
1.建設業許可取得の要件
建設業許可は1件500万円以上の工事をするのに必要です(建築一式工事は1,500万円以上)。許可取得の要件は次の6つです。
①経営業務の管理責任者がいる
②専任技術者がいる
③必要な社会保険に加入している
④財務的基礎や金銭的信用がある
⑤欠格要件に該当せず請負契約に関して誠実性がある
⑥建設業の営業を行う事務所がある
これらの要件で特に大変なのが専任技術者の証明です。他の要件は条件がわかりやすく、証明の手続きも簡単です。
しかし専任技術者を10年の実務経験で証明するには、非常に多くの書類と手間がかかり大変です。本当に実務経験があったとしても、証明しなければ許可を取ることはできません。
建設業許可の要件については『大阪で建設業許可を新規取得する6つの要件を行政書士が解説【チェックリスト付き】』をご覧ください。
2.実務経験は証明が難しい
専任技術者の要件は次の3つです。
①国家資格などを持っている
②特定の学科を卒業+3年または5年の実務経験
③10年以上の実務経験がある
一番かんたんなのは国家資格で証明する方法です。次が特定の学科を卒業している場合で、一番難しいのが10年の実務経験で証明する方法です。
資格を持っていれば一度に複数の業種の許可を取ることもできます。しかし国家資格を取るのはかんたんでなく、仕事をするしながら取るのも大変でしょう。
業務の経験や期間を証明するには次のような書類が必要です。
●契約書
●注文書+請書
●請求書+通帳の記載
会社によっては、書類を10年も保管していない場合もあるでしょう。ましてや以前勤めていた会社からこれらの書類を借りるのは、むずかしい場合もあります。
またこれらのルールなどは都道府県によって違うのでしっかり確認してから準備するようにしましょう。
仮にこれらの書類がないとしても実際に実務経験がある場合、何らかの解決方法が見つかることもありますので諦めずに確認してみましょう。
3.10年の実務経験を証明する方法
それでは実際に10年間の実務経験を証明する方法について解説します。ここでは大阪府知事許可を参考に説明します。
実務経験の証明は「実務経験証明書」に記載して行います。これに契約書などの必要書類を添付して申請します。
大阪府では基本的に1年に1件の工事経歴を記載します。東京都などは1ヶ月に1件、1年で12件の工事経歴記載が必要で、それと比べると非常に簡単です。
この辺りの証明方法は都道府県によって異なりますので、しっかりと確認するようにしましょう。
実務経験の証明には次の3つの注意点があります。
1)10年で証明できるのは一つの業種のみ
あなたが建築一式工事の許可を取得したい場合には、その工事を10年間していたことを記載して申請します。仮に土木工事の許可も欲しい場合には、さらに別の10年間の証明が必要です。
合計で20年の実務経験が必要です。
2)常勤で働いていた期間のみ
実務経験にカウントできるのは、常勤で働いていた期間のみです。
3)複数の勤務先を合計できる
実務経験は複数の勤務先での期間を合算してカウントできます。A社での経験、B社での経験、個人事業主として経験の年数をあわせて10年以上あれば認められます。
4.勤務先が建設業許可を持っていたかで必要書類が変わる
また以前勤めていた会社が建設業許可を持っていたか、持っていなかったかで必要書類が大きく変わることがありますのでご注意ください。まずはこの点を確認してから準備していきましょう。
1)建設業許可を持っていた場合
「建設業許可証のコピー」と「厚生年金加入証明」などだけで証明できることがあります。この場合は非常に証明しやすくなります。
2)建設業許可を持っていなかった場合
建設業許可を持っておらず、契約書などの書類も借りられず、勤務先が個人事業主だった場合には、実務経験を証明するのは非常に困難になります。
このような場合は行政書士など専門家への依頼を検討しましょう。現実的に考えて自分だけで手続きするのは非常にむずかしいでしょう。
5.建設業許可を実務経験で取得するまとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。
建設業許可取得で一番大変なのが10年の実務経験で専任技術者の要件を証明することです。その他の要件はクリアしているかどうかすぐにわかりますので、専任技術者だけがネックになるケースはとても多いのが現状です。
また、以前の勤務先が建設業許可を持っていなかった場合には、さらに申請難易度がアップします。
このような場合には、建設業許可を専門とする行政書士への依頼を検討することをおすすめします。
10年の実務経験を自分で証明することは非常に困難で、自分で手続きをはじめても最終的には断念してしまうことが大半です。
『非常に多くの手間と時間をかけても半年たっても申請できない』ということが非常に多いのです。
むずかしい手続きの場合には、最初から専門家に依頼するのがコスパ的には良いのではないでしょうか。